「35万戸不足。人口は増える、家は足りない。」
オランダに住むにあたり最も大変なのが「家探し」。
これは私たち移民に限った話ではなく、オランダ人でさえ大変だといいます。それにはいくつかの理由がありますが、ここでは主な理由を3つほど挙げていきます。
オランダで家が借りづらい3つの要因
① “社会増”=移民による人口増加
オランダは、先進国の中でも珍しく「顕著な人口増」を示している国ですが、その要因は移民にあります。
2019年以降、人口の自然増(出生数 − 死亡数)はマイナスで、2025年第1四半期には移民のみで約3万人の増加、自然増は−1万人超で移民が純増の要因。
参照:NL TimesNL Timeslongreads.cbs.nl
② 住宅供給の不足
環境規制や建設コストにより住宅の開発エリアが限られているため、2025年現在、建設される新築住宅数が需要に追いついておらず、住宅不足は約35〜40万戸規模に。
参照: pcwhousing.nl+5Pararius.nl+5Reddit+5
③ 家賃高騰、賃貸物件の減少
2010年代以降、政府の住宅補助が縮小され、住宅協会(woningcorporaties)による社会住宅(ソーシャルハウジング)の供給力が低下。これにより、民間賃貸市場に依存せざるを得なくなり、収益重視の自由市場型(高額賃貸)が主流に。
2020年代に入り、家賃高騰が社会問題化し、2024年に「家賃適正化法(Affordable Rent Act)」を施行。賃料規制を導入したことで、今度は投資家や家主の利回りが低下。結果として、物件を売却して持ち家用に転換する動きが加速し、市場に賃貸物件が出回らなくなってきている。
参照:Reddit+1Reddit+1
家探し体験(筆者の経験)
私たちも住める家が見つかるまでに2ヶ月かかりました。
それも毎日朝9時からPCにかぶりついて申し込みを行なうという日々でもそれぐらいかかりました。
最終的には107件の物件に申し込み、内覧は5件でそのうちの1件に決まりました。
それも、オーナーさんが日本人に所縁のある方でSNSの日本人コミュニティから見つけたものでした。
普通に探していたら本当に見つからなかったかも知れません。実際に、移住してきたものの、家が見つからずに帰国せざるを得ない方もいるそうです。
高額な家賃相場(アムステルダム近郊・ファミリー世帯)
そして、家が見つからないということは需要過多であり、自ずと家賃相場も上がります。私たちのような家族4人のファミリー世帯の相場は2LDKで2,000〜3,000€(アムステルダム近郊)します。日本円で、なんと34万円から51万円(1ユーロ=170円換算)。
ちなみに、新築住宅の購入価格は、全国平均で約 €504,000(2025年Q1)。日本円で約8,600万円(1ユーロ=170円換算)。中古住宅(既存住宅)の平均購入価格でも全国平均で約 €470,000(2025年Q1)。日本円で約8,000万円(1ユーロ=170円換算)。中古でもこの価格です…。そしてアムステルダムやユトレヒトなどの都市部ではさらに高額で、まだまだ価格は高騰するのではと言われています。
参考:RentHunter, Dutch housing market quarterly: Even higher house prices and more house sales on the horizon

詐欺などのトラブル
そして、これだけ需要過多だと詐欺も多いです。
実際に私たちも何件か詐欺だと思われる案件に遭遇し、一件は、具体的なやり取りをして内覧の日時まで決めていました。
しかし、やり取りの途中で不自然な点がいくつかあり、知人に相談したところ詐欺だとわかり金銭被害を防ぐことができました。
本当に家が見つからないので、焦りと不安から詐欺に遭ってしまう気持ちがとてもわかります。特に、オランダ特有の冬の曇天と寒さの中で家が見つからない憔悴感はすごいです。
「家が足りない国」で暮らすということ
このように、オランダでの家探しは、とても困難で社会問題にもなっています。
日本では空き家問題が地域の大きな課題ですが、人口が増加しているオランダでは、また違った住居問題があるのはとても興味深いです。
「衣食住(いしょくじゅう)」は、人間が生活していく上で必要不可欠な三大要素で生活の土台です。
家探しの最中に道を歩いていると、家の窓際で日向ぼっこをしている犬をよく見かけました。その犬のことを何度恨めしく思ったことか。
実際に体験してみて、当たり前ですが、壁と屋根があって心休まる場所があるって大事なんだなと痛感しました。
YOUTUBEでも紹介しています。