「海外に住みたい」と思ったとき、最初に立ちはだかるのがビザ申請(長期滞在許可)の壁。
私たちは移住するにあたり、①移住コストを抑えるため、②自分たちの経験を深めるために家探しやビザ申請は専門家に依頼せず、自分たちで行いました。といいながらも、WEBでの情報や現地在住の先人たちのお知恵をお借りし何とか実施しました。
今回は、実際に私たちが取得したオランダのビザについて、その種類や申請までの流れ、必要だった手続き、役立った情報源などを紹介します。
そもそも「ビザ」ってなに?
海外に住む、働く、学ぶ、旅をする――。そんなときに必要になるのが「ビザ(VISA)」です。ビザとは簡単に言えば、「その国に滞在するための許可証」のことです。
旅行でも実は“ビザ”を使っている?
「えっ?私、海外旅行行ったときビザなんて取ってないけど?」と思う方も多いはず。
実は私たち日本人は、パスポートだけでビザなし渡航ができる国が多いため、「ビザを意識せずに」旅行していることが多いんです。これは、日本のパスポートが「世界で最も信頼されているパスポートの一つ」とされており、多くの国とビザ免除協定が結ばれているからです。
ちなみに、ビザなしで渡航できる国の数は193か国で世界1位(2024年版 Henley Passport Index)
色々な国の人と話していると、ビザ取得が難しくて気軽に日本には行けない。なんて国籍の人がいることに驚きます。(日本は恵まれています。)
長期滞在には“ビザ”が必要
ただし、90日以上の長期滞在や「住む」「働く」「学ぶ」「起業する」などの目的の場合は、ほぼ必ずビザが必要になります。
ビザにはこんな種類があります:
- 就労ビザ(働くためのビザ)
- 学生ビザ(留学用)
- 配偶者ビザ(家族と暮らすためのビザ)
- 永住ビザ(ずっと住むためのビザ)
- 個人事業主ビザ/起業ビザ(ビジネスをするためのビザ)
このようなビザを取得するには、各国の移民局に申請を出し、必要な書類をそろえ、審査を経て許可を得る必要があります。
私たちが申請したビザの種類:個人事業主ビザ+配偶者ビザ
私たち(妻、子4歳、2歳)は、2024年10月に家族4人でオランダに移住しました。
そして、オランダへの居住に際し、「個人事業主ビザ(ZZPビザ)」と、それに紐づく「配偶者ビザ」を申請しました。
オランダは、日本と結んでいる日蘭通商航海条約(1912年)のおかげで、他国に比べて比較的スムーズにビザを取得できます。
- 初回の許可期間:2年間
- その後の更新:最長5年(状況により異なる)
実際の手続きと所要時間
日本にいる間にした準備
- 戸籍謄本の取得
- 外務省でのアポスティーユ(公証)
オランダ渡航後に行ったこと
- 在オランダ日本大使館(ハーグ)での手続き:Family Register Certificate(戸籍謄本証明)、Marriage Certificate(婚姻証明)、
Birth Certificate(誕生証明)の申請、発行 - オランダ外務省(Ministry of Foreign Affairs)でのリーガライズ(認証)
- IND(移民局)への申請書類の提出
- INDへの申請料の支払い
- INDでの生体認証(顔写真・指紋の登録)
- INDでの滞在許可カードの受け取り
- 市役所への登録(住所登録・BSN番号取得)
- KVK(商工会議所)での個人事業登録
実際にかかった時間
渡航から滞在許可証取得まで:約1〜1ヶ月半
渡航後の申請から許可が下りるまでの大まかな流れ
- 在オランダ日本大使館への申請、発行:1週間
- オランダ外務省でのリーガライズ(認証):即日
- IND(移民局)への申請書類の印刷、記入、提出:1〜2日
- INDからのレター受領(申請受理の通知):申請から10〜14日
- INDでの生体認証(顔写真・指紋の登録):受領から1週間(要予約)
- 許可カードの受け取り:生体認証から1〜2週間
- 市役所・KVKなどの登録(ビザ取得後に必要です。)
海外での印刷・郵送の困難さ
ビザ申請の際に意外と困ったのが、申請書類の印刷と郵送。日本ならコンビニで簡単にできる作業も、オランダではひと苦労。
印刷数が80部越えだったので、日本で印刷せずに現地で印刷しましたが、余裕があるなら日本で印刷するのも良いと思います。
困ったこと3選
1.申請書類を印刷する場所が分からない
2.封筒や切手の購入場所が分からない
3.郵送方法、郵送場所が分からない
1.申請書類を印刷する場所が分からない
調べた結果、プリントショップか図書館でコピーができるとのことで、滞在先近くの図書館のコピー機を使用しました。図書館HPから事前にデータをアップロードして、詳細は図書館のスタッフさんに教えてもらいました
2.封筒や切手の購入場所がすぐに分からない
3.郵送方法、郵送場所がすぐに分からない
この2点は、PostNLで解決です。このPostNLのサービスを扱っている店舗(スーパーや本屋、雑貨店など)で切手や封筒、レターパックの購入ができ、集荷・発送の拠点にもなっています。目印は PostNLのオレンジ色のロゴが看板に出ていたりします。
言語の壁と先人たちの情報
申請手続きは英語で完結可能
ありがたいことに、オランダの申請手続きは英語で完結可能です。必要書類やガイドも英語で用意されているので、言語面での不安はあまり感じませんでした。
・IND公式サイト(英語あり)
日本人ブログ・YouTube体験談が参考に
また、多くの先輩方が既に移住されており、WEB上にはたくさんの情報が掲載されています。私は特にhiroimonoさんのこの記事を購入して参考にさせていただきました。
まとめ
ビザ申請と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、正しく準備をすれば手続き自体は難しくありません。
特にオランダは、日本人にとって許可を得られやすい国のひとつですし、オランダ語でのコミュニケーション不要(英語で対応可)なので、自力での申請・取得が可能かと思います。
また、私個人の感想ですが、どの窓口の担当者もとてもフレンドリーで、丁寧に説明してくれます。オランダの「人の親切さ」に何度も救われました。
この体験が、これから移住を目指す誰かの参考になれば嬉しいです。